油井正一さんに捧ぐ

油井正一さんに捧ぐ

私が高校生の頃だから、いまから40年も前のことだが(愕然…(-.-))、今は亡き油井正一さんというジャズ評論家がやっていたFMの番組「アスペクト・イン・ジャズ」をほぼ毎週聴いていた。

その頃はまだ自分ではロックミュージックが主で、ジャズはどちらかというとBGM程度の聴き流しだったが、油井さんの語り口が耳に心地よくて、ジャズはまったくわからないものの、時間が来るとチューナーを合わせていた記憶がある。

当時カセットテープは高くて、滅多にエアチェックはしなかったのだが、何故かその夜は(偶然だろうけど)それを録音していたのだ。その夜のメニューは、バリー・ハリスというそれほど有名ではないバップのピアニストの特集だったが、軽めのスタンダードとくどくない演奏がなかなか良かった。中でもそれは、メロディといい雰囲気といい、あとから何度も何度も聴くうちに完全にとりこになってしまったのである。それは、いわば私にとってジャズの代表曲になったのだ。(油井さんありがとう)

ところが、後年働くようになって彼のCDを少しづつ購入し、あの日エアチェックした曲はあらかた揃っていったのだが、何故かそれだけは彼のCDにはなかった。そしてそれは40年もの間、いったい誰の曲なのか結局わからずじまいだったのである。

時は経て40年…。ネットの最大の武器は検索である。直接、ヒットしたわけではなかったが、じわりじわり追い詰めて候補をひとつひとつつぶしながら昨年やっと判明した。

それは、やはりバリー・ハリスではなかった。もちろんこれは油井さんのミスではなく、番組の特集プラスオムニバスをごっちゃに思い込んでいた自分が悪いのである。

やれやれ、Boy, you’re gonna carry that weight. carry that weight a long time.