ポーターとニッポンの職人さん
- 2015.09.29
- ちょっといい話
ポーター。
いわずと知れた吉田カバン。
お値段は少々はりますが、作りがしっかりしていて、シンプルで飽きのこないデザインと使いやすいところが気に入って、私もバッグを何個か愛用しています。
以前TV番組で、吉田カバンが日本の職人さんを守るためにメイドインジャパンにこだわって安価な海外生産に手を出さず、また、職人さんたちの収入を下げないために決してカバンの値引きをしないのだという事実を知り、ますますポーターが好きになりました。
数年前。
地元の小さな鞄店で、いいなと思うポーターのバッグをみつけ、店員さんに
「このバッグのカーキ色はありませんか?」と尋ねたところ、
「少々お待ち下さい」と…。
しばらくして戻ってきた店員さんは
「すみません。メーカーに問い合わせたところ、現在その色での製造はしていないそうです」と。
ああ、やっぱり…、と諦めかけた私。すると店員さんは、耳を疑うような言葉を続けたのです。
「2週間ほどお時間をいただけたら、その色で作ります、と言っておりますが、いかがなさいますか?」
ビックリしました。
あの吉田カバンが、こんな片田舎の(失礼)、たった1人の客のために、わざわざ違う色でそれも、すぐに作ってくれるなんて…!と。
いや、吉田カバンだからこそなのか。
企業の誠実な姿勢と心のこもった対応、職人さんとの結びつきの強さに感動。
それと同時に、昔から延々とつづく日本の職人社会のこころに触れた気がしました。
どんなに安い海外製のものが巾をきかせても、ぜったいなくしてはならない、守っていかなければならない、日本のモノづくりのこころだなぁ、と改めて思った私なのでした。
10日を少し過ぎたころ、私のもとにカーキ色のポーターが届きました。
最近、毎日のように愛用していたポーターの、透明ビニールの内ポケットが裂けてしまったので、くだんの鞄屋さんに持って行って修理に出そうと思っています。ポーターは修理やメンテだって、その鞄を作った職人さんの所に戻って、そこでやってもらえるそうです。そんな日常に寄り添ってくれる昔ながらの職人の心意気が、モノづくり日本を支えてくれるのだと思うのです。