君の空、僕の空

君の空、僕の空

先日、色の扱いについてのセミナーを受講しました。
いろいろと話題があったのですが、その中でも「加齢に伴って青色の識別が難しくなる」という内容に妙に納得させられました。

年を重ねるにつれ視界が黄色っぽくなる、ということは知ってはいたのですが、なぜ青色が識別しにくくなるかと言うと、その仕組みは、網膜の中にある錐体細胞が黄斑化して、黄色の補色である青色の識別が難しくなる、ということのようです。

身近なところでは「いつも真っ黒い服ばかり着て、たまには色のついた服にしたら」と親に指摘される私ですが、「これ紺色だよ」と言っても、「どこが紺なの、黒にしか見えない」と度々言われることがあります。
ただ、紺色に限らず、暗めの色はどれも大差のない黒っぽい色にしか見えないようです。(個人差があります。)

高齢者をターゲットにした製品など、似たような色を使用して表現しても、わかってもらえないということになります。
そこを区別させたいのなら、もっと明暗・彩度をはっきりとさせた色で作るべきということに繋がります。

また、老眼になると小さい文字が読みにくくなると言いますが、高齢者にとって読み易い文字とは、大きい文字、そして太い文字だそうです。
ヴィジュアルデザインの世界では、太字はワンポイント程度に使用するという法則があるのですが、高齢者向けの製品にとってはそれが覆されます。

「デザイン」の定義は人それぞれだと思いますが、私はデザインの正解とは、かっこいいか、トレンドか、という枠ではなく、目的を果たせるかどうかということだと思っています。
複合的な要素も絡みますので正解のデザインを制作することは困難ではありますが、日々耳を傾け努力していきたいです。

ちなみに、高齢者に限らず、人は個人個人見える色が違うそうです。
色覚障がいの方はその違いが大きいですが、健常者でも皆微妙に違うそうです。
体格が違う、声が違う、毛深さが違う、というようにそれはごくごく当たり前の個人差だそうです。

今、見上げているこの綺麗な空の色を、隣の人が同じように見ているかというと、そうではないのですね。
まるで人の気持ちと同じですね。

と、最後だけロマンティックに締めくくります。